レム睡眠が長くなるのは、脳内物質セロトニンが少ないことが原因?

人間の睡眠には2つの種類があります。ノンレム睡眠とレム睡眠です。眠っているあいだ、ノンレム睡眠とレム睡眠は交互に現れます。2つの睡眠がバランスよく出現すればいいのですが、バランスが崩れると問題が起こります。

たとえばレム睡眠の割合が多くなるとどうなるでしょうか。トータルの睡眠時間が変わらないとすれば、レム睡眠が長くなったぶんノンレム睡眠の時間が削られます。

ノンレム睡眠は脳の休息とメンテナンスをするための睡眠と考えられています。そのノンレム睡眠が削られてしまうと、脳は疲れを回復することができません。身体は休めるかもしれませんが、脳が休めていなければ疲労感は残ります。

「しっかり寝たはずなのに疲れがとれない」という症状を熟眠障害といいます。個人的な見解ですが、レム睡眠の時間が長いためにノンレム睡眠が減ってしまい、脳の疲労が回復できないことが熟眠障害の原因のひとつかもしれない、と考えています。

また「夢を見すぎて疲れる」という人もいるみたいですが、これもおそらくレム睡眠の時間が長いことが一因だと思います。基本的には、夢はレム睡眠の最中に現れます。なので夢をよく見る=レム睡眠が多い、と予想できます。

では、なぜレム睡眠が多くなるのでしょうか。睡眠関係の書籍で調べてみました。

レム睡眠はセロトニンに左右される

レム睡眠の長さには、セロトニンという物質が関係しているようです。セロトニンは脳内で生成される物質で、不安感をなくし、心を落ち着かせる作用があるとされています。近年ではその知名度が高まっていて「セロトニンが少なくなるとうつ病につながる」などの話を聞いたことがある人も多いと思います。

そんなセロトニンとレム睡眠の関係について、眠っているとき、脳では凄いことが起きているという書籍には次の記載があります。

セロトニンのバランスが崩れれば気分とやる気がボロボロになるだけでなく、睡眠のパターンも混乱してしまう。セロトニンが多すぎるとレム睡眠が妨げられる一方、少なすぎるとレム睡眠が長すぎることになる。

セロトニンは心の状態を左右するだけでなく、レム睡眠の長さも左右するのだそうです。

ただ、なぜそんなことが起こるのでしょうか。それについては、人はなぜ眠れないのか (幻冬舎新書) にヒントが書いてありました。

頭が働きすぎている過覚醒の状態では、眠っている間も、アセチルコリンやグルタミン酸が放出し続けていて、それが夢ばかり見るレム睡眠を増やしてしまうのである。

セロトニンと同じく、アセチルコリンやグルタミン酸も脳内に存在する化学物質です。両方とも決して悪い物質ではないのですが、その働きが強すぎるとレム睡眠が増えるとのこと。

セロトニンは、脳内物質の調整役のような役割を持っているそうです。なので、セロトニンが少ないとアセチルコリンやグルタミン酸の作用が強く出てしまい、その影響でレム睡眠が増えるのではないかと思います。

どうすればレム睡眠を減らせるか?

以上の内容から、レム睡眠を短くするにはセロトニンを増やせばいいと考えられます。セロトニンを増やす方法については、すでにこちらの記事で述べているので、ここでは手短にまとめます。

1.日光を浴びる
強い光が眼に入ると、それが引き金となってセロトニンの生成が高まる。

2.充分な栄養(トリプトファン)を摂る
セロトニン生成には材料となる物質が必要。その材料というのはアミノ酸の一種トリプトファン。

3.定期的に運動をする
運動によって脳内のセロトニン神経が強化される。セロトニン神経は、その名の通りセロトニンを分泌する神経のこと。

また、前述の書籍(人はなぜ眠れないのか )によれば、
「頭が働きすぎている過覚醒の状態→レム睡眠が増えてしまう」
とのことなので、過覚醒を抑えることも重要だと思います。

過覚醒を抑える方法はいろいろ考えられますが、簡単にできそうなことを1つ挙げておきます。それは、夜になったら部屋の明かりを暖色照明に切りかえることです。暖色照明=オレンジ色の照明です。ホテルの客室の照明によく使われている、オレンジ色の明かりのことです。

蛍光灯やLED照明には、ブルーライト(青色光)が多く含まれていますが、このブルーライトは体や意識を覚醒させる作用があるそうです。それに対して、オレンジ色の暖色照明にはブルーライトがあまり含まれていません。ホテルの客室が妙にリラックスできるのは、暖色照明の影響で覚醒度が下がるからなのでしょう。