「朝型」と「夜型」を決めるものは何?

「わたしは夜型だから、朝起きるのがどうしても苦手……」という人は少なくないと思います。朝強い人からすると言い訳に聞こえるかもしれませんが、睡眠関係の書籍を読んだところ実際に人間の睡眠リズムには「朝型」「夜型」「中間型」の3つがあるとのこと。

では、朝型と夜型の違いを生み出す原因は何なのでしょうか?

朝型・夜型を決める遺伝子がある

睡眠・覚醒のリズムは、体内時計によってコントロールされています。体内時計が「もう寝る時間だ」と認識すれば、脳内でメラトニン(ホルモンの一種)が分泌し始め、眠くなります。逆に「まだまだ眠る時間じゃないな」と認識すると夜遅くまで眠気がやってきません。このことから、朝型・夜型を決めているのは基本的には体内時計である、と言えます。

体内時計の細胞の中には、時計遺伝子と呼ばれる遺伝子が存在しています。この時計遺伝子が朝型・夜型を決めるキーポイントになっているのだそうです。

以下は、ブルーライト 体内時計への脅威 (集英社新書)からの引用です。朝型、夜型を決定づける時計遺伝子(Per2、Per3)について書かれています。

二〇〇一年に米国ユタ大学の研究グループによって、朝日が昇る前に起きて、夜一九時頃には眠るといった「極端に朝型」の生活スタイルを維持している家系にだけ存在する時計遺伝子パーツー(Per2)の変異型が発見されたのだ。

そのほぼ同時期に、埼玉医科大学の研究グループが、「極端な夜型生活」を送る人は時計遺伝子パースリー(Per3)に異常があることも発見している。

二〇〇三年には、イギリスの研究者によって朝型の人はパースリー(Per3)が長く、夜型の人は短いことを発見。

時計遺伝子は10個以上あって、それぞれの関係性も複雑です。具体的にどの遺伝子がどの程度朝型・夜型に関与しているのか、まだ完全には分かってないようですが、少なくとも時計遺伝子が朝型・夜型を決定づける一因子であることは間違いないと思います。参考までに、時計遺伝子の関係図を載せておきます。

■ 時計遺伝子のネットワーク

※ 図中の○で囲まれているのは時計遺伝子の名称。Bmal1、Bmal2、Clockなど。

引用:「時計遺伝子」の力をもっと活かす! (小学館)

夜型生活は変えられるかもしれない

朝型の人が夜型になりたいという話はあまり聞きませんが、逆はよくあると思います。私自身も完全に夜型の睡眠リズムですが、もう少し朝早く起きられたら……と思うことがあります。

しかし、朝型・夜型が遺伝的に決まるのだとしたら、いくら努力しても夜型の人は朝型に変われないということになります。朝型勤務がダメな理由(日経ナショナルジオグラフィック社)には次のように書かれています。

朝型夜型についての体質は「クロノタイプ」とも呼ばれていて、これは変えられない。過去の研究から、個人のクロノタイプの決定には遺伝的影響が約50%、加齢の影響が数%程度関わることが分かっている。

一方、環境的影響はないか、あってもごく小さいとされていて、目覚ましや光を使って朝早く起きる生活を続けても、朝型体質に変わることは期待できないんだ。

遺伝の影響が50%もあるなら、夜型の人が朝型に変わるのは絶望的に難しいのではと思います。

しかし、この書籍には興味深いことが書かれていました。夜型体質と夜型生活は違う、という話です。

夜型体質というのは、すでに述べた遺伝的に決まる性質です。それに対して夜型生活は生粋の夜型ではありません。現在の生活形態の影響によって夜型になっているという意味です。

たとえば、元々は夜型でも朝型でもなかった人(つまり中間型)が、夜遅くまで毎日仕事をしていたために夜型の睡眠リズムになってしまった……というのは夜型体質ではなく夜型生活です。そして、夜型体質は変えられなくても夜型生活は変える余地はあるのだそうです。

メラトニン分泌を妨げない生活習慣が大事

夜型生活を直すための具体的な方法は別記事にまとめようと思いますが、とにかく夜の眠気を妨げないようにすることは重要です。夜早めに眠れば、朝早く起きられるはずだからです。そのためには、まず睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を妨げないことです。

メラトニンは夜になると脳内で分泌が始まり、自然な眠気をもらたしてくれます。しかし、光の刺激を受けるとメラトニン分泌は抑制されることが分かっています。夜になったら部屋の照明を蛍光灯からオレンジ色の暖色照明に切り替え、メラトニンの分泌抑制を最小限にするようにしましょう。

夜型の人はメラトニンの分泌タイミングが遅れているという話もあります。普通の人は夜21時くらいから分泌が高まりますが、夜型の人は夜更けにならないと分泌量が増加しないのだそうです。これは、夜間の明るい照明が影響している可能性が高いと思います。

■ メラトニン分泌と時刻の関係

メラトニンについては「メラトニンの分泌を増やす3つの方法」なども参考になると思います。