寝酒は寝つきが良くなるけれどデメリットもある

「寝つけないときに寝酒をしたら、すんなり眠れるようになった」という人はたくさんいると思います。睡眠関係の書籍で調べてみたところ、アルコールに入眠効果があるのは事実のようです。アルコールには脳の活動を抑える鎮静作用があり(麻酔薬と似たような作用)、それによって眠気が生じるとのこと。

気分が興奮しているときやストレスに悩まされているときでも、寝酒をすればスッと眠れる……それは、アルコールの鎮静作用のおかげなんですね。

しかし、寝酒に頼ることにはデメリットもあります。

寝酒の代表的なデメリット3つ

1.夜中に目が覚めやすくなる

寝酒のデメリットの1つ目は、夜中に目が覚めやすくなることです。

アルコールは肝臓で分解されますが、その過程でアセトアルデヒドという物質に変化します。この物質は交感神経を刺激する作用があるため、休息状態にあった脳が覚醒してしまい、その結果夜中に目が覚めてしまうそうです。

寝酒をすると、ものすこく寝つきがいいかわりに、すぐに目が覚めてしまうというのは、アルデヒドが交感神経を刺激するからなのです。

引用:4時間半熟睡法

個人差はあると思いますが、お酒を飲んでから3時間くらいはアルコールの鎮静作用が続くようです。なので、少なくとも睡眠前半は作用のおかげでグッスリ眠れます。(といっても麻酔を使ったときのような不自然な睡眠になるそうですが)

しかし、3時間以上たつと今度はアセトアルデヒドの覚醒作用が強くなるため、眠りが浅くなります。

それでなくても、入眠して3時間ほど経過した頃というのは、もともと眠りが浅くなって目が覚めやすい時間帯です。人間の睡眠にはリズムがあって、大体90分周期で浅くなるタイミングがあります。そのタイミングと、アルコールの鎮静作用が解けたタイミングが重なれば、目が覚めてしまうのは必然と言えます。

● 睡眠時間と眠りの深さの関係

寝酒を続けると、夜中に起きてしまうせいで睡眠時間が削られて、慢性的な睡眠不足になる可能性が出てきます。

「私は目が覚めてないから大丈夫」と思う方もいるかもしれませんが、たとえ目が覚めなくても眠りが浅くなっていることに変わりはありません。眠りが浅いと脳も体も充分に回復できないため、日中の眠気や倦怠感につながります。

なお、夜中に目が覚めることに悩む人の割合は、年齢とともに増えます。下記の保健福祉動向調査(平成12年)のデータからも、そのことが分かります。この中には、寝酒が原因の人もいるのではないかと思います。

● 「夜中に何度も目が覚める」と答えた人の割合(年代別)

平成12年 保健福祉動向調査 睡眠調査を元に作成

2.睡眠中に呼吸が止まりやすくなる

2つ目のデメリットは、睡眠中に無呼吸になりやすいことです。無呼吸というのは、言葉のとおり呼吸が止まることを指します。最近では、睡眠時無呼吸症候群(すいみんじ むこきゅう しょうこうぐん)という睡眠障害も注目されています。

睡眠時無呼吸の大きな特徴は、突然止まるいびきです。それまで「ぐぉ~」といびきをかいていたのが、「ぐっ……」という感じで止まります。そして、しばらくすると「グォッッ!」という轟音のようないびきが出ます。

睡眠時無呼吸症候群のポイントまとめ 【症状や原因、治療方法など】

なぜ寝酒をすると無呼吸になりやすいのでしょうか。それは、アルコールには筋肉を弛緩させる作用があるからです。

喉の空気が通る部分を気道といいます。気道の筋肉がアルコールの筋弛緩作用のためにゆるむと、気道がせまくなり、空気が通りにくくなります。そして気道が完全にふさがれる形になると、無呼吸が発生します。

無呼吸がひんぱんに起こると、無自覚のまま夜中に何度も覚醒をすることになります。自分では気づかなくても、睡眠ポリグラフという機械で脳波を測定すると、小刻みに覚醒しているのが確認できるそうです。

さらに、睡眠中の無呼吸は高血圧の原因にもなります。中高年で血圧が高くて困っている人の中には、「寝酒→無呼吸→高血圧」という方もいるのではないかと思います。

3.アルコール依存になる可能性が高い

3つ目のデメリットは、寝酒をきっかけにしてアルコール依存におちいる危険性があることです。

たかが寝酒でおおげさでは?と感じる人もいると思います。私自身もそう思っていたのですが、不眠症の科学(SBクリエイティブ)には以下のように書かれていました。

寝酒をする人はアルコール依存症になる確率が高く、不眠がない人の2~5倍の危険性があります。また、アルコール依存症患者の60%は、不眠のためにアルコールを使うようになったと答えています。

寝酒を続けていると、しだいにアルコールに対する耐性ができ、同じ量では鎮静作用が得られなくなるそうです。つまりお酒の量を増やさなければ眠れなくなります。

眠るためには飲酒量を増やす必要があり、量を増やすとさらに耐性ができる……耐性ができたらまたお酒を増やす………この悪循環の行き着く先が、アルコール依存症なのだそうです。

追記:寝酒から脱却するには?

ここまで寝酒のデメリットについて述べてきましたが、お酒を飲まないとどうしても寝つけない人もいると思います。その場合どうしたらいいのでしょうか?

いきなり寝酒をやめると、その反動でますます眠れなくなる可能性があります。なので寝酒を徐々にやめる(つまり飲酒量を減らす)という方向で調べてみました。

私自身まだ理解できていない部分がありますが、

  • 寝酒をしつつロゼレム(睡眠薬の一種)を使う
  • 入眠作用のあるサプリメント(メラトニンとバレリアン)を寝酒と併用する

などの方法があるようです。これらについては、詳しく調べたのち別ページにまとめる予定です。