セロトニン症候群はサプリメントを飲みすぎたときにも起こる

脳内のセロトニン濃度が高くなりすぎると、「セロトニン症候群」と呼ばれる症状が発生します。発熱や吐き気、嘔吐などさまざまな症状が現れますが、最悪の場合では死に至ることもあります。

セロトニン症候群は、特定の薬を服用したときに発生することが知られています。たとえば、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に代表される抗うつ剤です。しかし、そういった薬を使っていなくても、セロトニン症候群が起きる可能性があります。

では、どういったときにセロトニン症候群になるのかというと、それは特定のサプリメントを過剰に摂取したときです。

セロトニン症候群に関係するサプリメント

① セントジョーンズワート

セントジョーンズワートは、軽度~中度のうつ症状に対して使われることがあるサプリメントです。日本ではサプリメント扱いですが、ドイツやオーストラリアなどでは、処方箋が必要な医薬品として使用されています。

セントジョーンズワートが人体にどういう作用をおよぼすのか、完全には明らかになっていませんが、SSRIと似たような働きをすると推測されています。そのため、サプリメントの中ではセロトニン症候群が一番発生しやすいと言えます。

② トリプトファン

トリプトファンはセロトニンの原料になる物質です。人間の体内では「トリプトファン ⇒ 5-HTP ⇒ セロトニン」という過程をへて、セロトニンが生成されます。

トリプトファンはアミノ酸の一種なので、一般的な食べ物に含まれています。たとえば肉類や魚介類などは、トリプトファンを豊富に含んでいる食材です。

日々の食事から摂れるトリプトファンの量なら、セロトニン症候群が発生することはありません。しかし、サプリメントを大量に飲んだり、セロトニン系の薬物(SSRIなど)と併用したりするとリスクが高まります。

③ 5-HTP(ヒドロキシトリプトファン)

トリプトファンと同じく、5-HTPもセロトニンの原料になる物質です。トリプトファンと異なる点は、「5-HTPとセロトニンは化学的な距離がとても近い」ということです。そのぶんだけセロトニンを増やす効果が期待できますが、裏を返せばセロトニン症候群の原因になりやすいとも言えます。

5-HTPは一般的な食べ物の中には含まれていませんが、サプリメントの形で摂取することができます。海外では、5-HTPはセロトニンを増やすサプリとして人気があります(日本では薬事法の関係で売られていません)。

サプリや医薬品の飲み合わせにも注意!

上記で述べた3つのサプリメントは、過剰に摂取するのは厳禁です。そして、過剰摂取よりも危険なのが医薬品と並用することです。

サプリメントと医薬品は同じではありませんが、似たような作用を持つ場合も多いです(たとえばセントジョーンズワートとSSRI)。そのため、併用すると予想外の作用増強が起きる危険があります。

抗うつ剤以外でも、サプリメントとの同時使用が問題になる場合があります。たとえば「炭酸リチウム」は反復性過眠症の治療に使われますが、この薬はセロトニン症候群を引きおこすことがあります。当然、先に述べたセントジョーンズワートなどのサプリメントと一緒に使うのは危険です。

持病の治療のために何らかの薬を服用している人は、サプリメントとの飲み合わせでセロトニン症候群になる可能性があるかどうか、医師に確認をとるようにしましょう。

なお、先に挙げた3つのサプリメント同士を並用することも、基本的には避けたほうが無難
です。医薬品の場合と同じく、想定よりも作用が増強されるかもしれないからです。