メラトニンは副作用が少ないけれど、注意すべき点はある

「寝る時間になっても寝つけない……」
そんなときに使われるメラトニンのサプリメントですが、副作用や安全性が気になるところだと思います。

メラトニンが発見された1958年以来、多くの研究者がメラトニンを動物や人間に投与する実験をしてきたそうです。これまでの実験については、 脳内物質メラトニン(朝日出版社)という書籍にいくつか書かれていたので、簡単にですが紹介します。

マウスに対する実験

マウスにメラトニンを注射して、どのくらいの量で死に至るかを調べた実験が行われている。その結果、体重1kgにつき800mgのメラトニンという極端な量を投与しても、マウスが死亡しなかったことが確認されている。

人間に対する実験

1400人の女性に、75mgのメラトニンを継続服用してもらうという大規模な実験がオランダで行われた。この実験でも目立った副作用は報告されなかった。
(この実験は4年間という長い期間にわたって実施されている)

メラトニンは1~10mgで入眠をうながす効果を得られると言われています。 この量と比較すると、実験で投与されたメラトニンの量がケタはずれに多いことが分かります。つまり、不眠改善のためにメラトニンを飲む程度なら、副作用の危険性はかなり小さいと言えます。

ちなみに、サプリメントの通販サイトで販売されているメラトニンは、1錠で数mgのものがほとんどです。一度に何錠も飲むなら別ですが、普通に使用するかぎり重大な副作用が起こる可能性はほとんどないはずです。

副作用があるとすれば、飲みすぎると悪夢を見るようになったり、翌日に眠気が残ったりすることくらいだと思います。

そう考えると「メラトニンは眠りやすくなるし、副作用も少ないからすごくいい!」と思われるかもしれません。 しかし、 実のところ懸念材料もあります。

自力でメラトニンをつくる能力が衰える?

メラトニンのサプリメントを使うときに懸念されること。
それは「自分の力でメラトニンを作る働きが弱くなるかもしれない」ことです。

少し詳しく説明します。
まず大前提なのは、メラトニンは人間の体内で作られるホルモンの一種だということです。

ホルモンとは……

体のさまざまな器官の機能を調節する、100種類以上の物質。知名度の高いホルモンとして、アドレナリンやノルアドレナリン、インスリンなどがある。

ホルモンはわずかな量でも大きな働きをするので、急激に増えたり減ったりすると、人体に大きな影響がでます。たとえば、ホルモンのひとつであるインスリンが大量に分泌されてしまうと、血糖値が下がりすぎて命に関わる可能性が出てきます。

そういった影響を防ぐために、現在のホルモン濃度を感知して、自分で調節する機能が人間には備わっているそうです。濃度が高いときには、ホルモンの生成を止めることで濃度上昇を防ぎます。逆に、濃度が低いときにはホルモン生成が活発になり、足りない分を補おうとします。

ここで、体の外からホルモンが与えられた場合を考えてみます。外部から供給された分だけ体内濃度が高くなるので、自力で作るホルモンの量を減少させることでバランスを取るはずです。これ自体は、自然な調整作用なので問題ないと思います。

しかし、日常的にメラトニンが外部から与えられ続けると、「このホルモンは自分で作らなくても問題ない」と体が解釈してしまう可能性がでてきます。手を抜けるところは手を抜こうとするのが、人間の体の特徴なのかもしれません。外部から供給されるからメラトニンは別に自分で作らなくてもいいや………となっても不思議ではないと思います。

つまり、メラトニンのサプリメントを使っていると、自力でメラトニンを生成する力が衰えるかもしれない、ということです。これがメラトニンサプリを使う上での懸念材料です。

今のところ明確なデータはないらしい

メラトニン関係の書籍を調べたところ、「メラトニンを体外から取り入れたとしても、そのせいで生成能力が衰えることはない」という話もありました。

これは、メラトニンが体内で作られるときのメカニズムが、ほかのホルモンとは異なっていることと関係しています。

メラトニンの生成リズムは、外界の明るさによってコントロールされています(明るいときには生成が止まり、暗くなるにつれて生成が増える)。そのため体内の濃度変化にはあまり影響を受けないようです。これは、ほかのホルモンとは異なる点です。

● メラトニン分泌量と時刻の関係

なので、サプリメントを飲んだことによって体内のメラトニン濃度が上がったとしても、それは自力で分泌するメラトニン量に影響をおよぼさない、ということが言えるわけです。これはたしかに一理あるように思えます。

しかし、メラトニンを長期的に摂取した場合のデータはまだ揃っていないようです。10年20年という長いスパンで摂り続けたときに、本当に何も影響が出ないのか……それは何とも言えないと思います。

うまく活用すれば、メラトニンは心強い味方になる

メラトニンにしろ睡眠薬にしろ、使わないで済むならそれに越したことはありません。しかし、眠れなくて困っているときには、それらに頼りたくなるのも事実です。

ですので、短期的に使ってみるのはアリだと思います。もしメラトニンのサプリメントで眠れるようになったとしたら、「メラトニンが足りていなかったことが不眠の原因だったんだ!」と推測することもできます。

メラトニン不足が不眠の原因だとしたら、それに対処する方法はいろいろあります。メラトニンは、その原料をしっかり摂ることでも補えますし、生活習慣に気をくばることでも分泌量が増えます。サプリメントを使いながら、これらの対策もやっていけばいいわけです。

私自身の話になりますが、現在はメラトニンのサプリは常用していません。使わなくても寝つけるようになったからです。ただし、もともと体内時計のリズムが狂いやすい体質なのか、ちょっと気を抜くと寝る時間も起きる時間も大きく変動します。その変動を調整するために、メラトニンを利用することはあります。

「眠れなくてつらい。でも睡眠薬にはできるだけ頼りたくない」という場合は、メラトニンのサプリメントを使ってみるのはいい手段です。長期的に使うかどうかは、あとで考えればOKと思います。

なお、初めて使うのなら1mgか3mgの錠剤がオススメです。5~10mgの錠剤だと、翌朝に眠気が残る可能性が高いと思うからです。

amazonでのメラトニンの取り扱いは無くなってしまいました。代替としてiherb(アイハーブ)というサイトが便利です。

メラトニンの買い方については「メラトニンを通販で購入するときに知っておきたいポイント」も参考にしてみて下さい。