セロトニンを直接摂れる食品はないが、セロトニンを増やす食べ物はある!

セロトニンは、人間にとって重要な物質のひとつです。不足すると不眠やうつにつながることが知られています。

「セロトニンをどうにかして増やしたい!」と考えている方は少なくないようです。当サイトにも”セロトニン 食べ物”という検索ワードで訪問される方がいます。おそらく、セロトニンを摂取できる食べ物を探しているのだと思います。

セロトニンを直接摂ることは不可能

調べてみたところセロトニンを直接補給できる食品は存在しないようです。セロトニンの前駆物質であるトリプトファンや、セロトニンが変化してできるメラトニンは食べ物から摂取することができます。しかし、なぜかセロトニン自体は食べ物に含まれていないんです。

また、仮にセロトニンが含まれる食べ物が存在しても、それを食べたところで脳内のセロトニンは増やせないそうです。だいぶ古い本なのですが、脳の栄養―脳の活性化法を探る(共立出版)には下記のように書かれていました。

セロトニンを直接摂っても、血液脳関門にセロトニンを分解するアミン酸化酵素が存在するため、脳の中にはほとんど入らない。

とのことなので、たとえセロトニンを直接摂ることができたとしても、ほぼ意味は無いみたいですね。

しかし、セロトニン自体を食べ物から摂取できなくても、日々の食事に気をくばることには意味があります。なぜなら、セロトニン生成にかかわる物質は食べ物を通して摂取できるからです。

すでに少し言及しましたが、セロトニンには元となる物質(前駆物質)があります。簡単に言えば「セロトニンの原料」ということですが、その原料はアミノ酸の一種であるトリプトファンです。このトリプトファンは通常の食品から摂ることが可能です。

原料がたくさんあれば生産物も増えるはずです。なのでトリプトファンをしっかり摂ることは、セロトニンの増加につながると考えられます。

補足

セロトニンの合成にはビタミンB6など栄養素の力も必要になりますが、それらも食品から摂取することができます。詳しくは「セロトニンの生成を手助けする栄養素」で述べています。

セロトニンの原料「トリプトファン」について知ろう

1.トリプトファンは高タンパク食品に含まれる

セロトニンの原料であるトリプトファンは、肉類や魚介類、穀類、乳製品など、実に多くの食品に含まれています。なかでも高タンパク食品はトリプトファン含有量が多いです。その反面、野菜や果物などはタンパク質が少ないため、トリプトファンの量も少ないです。

具体的な含有量を挙げてみます。

種類 食材 可食部100gのトリプトファン量
肉類 とり むね 270 mg
魚介類 かつお 310 mg
穀類 米(精白米) 100 mg
乳製品 ナチュラルチーズ 320 mg
豆類 納豆 240 mg
野菜類 キャベツ 11 mg
果物類 バナナ 10 mg

トリプトファンがアミノ酸であることを考えれば、高タンパク食品に多く含まれていることは納得できます。

2.トリプトファンの必要摂取量は簡単に満たせる

トリプトファンの必要摂取量は体重1kgにつき2mg(1日あたり)と言われています。体重60kgの場合、120mgが摂取量の目安になります。

この摂取量を満たすためには、何をどのくらい食べればいいのでしょうか?

たとえば肉なら100gあたりトリプトファンが200mg以上含まれています。魚でもだいたい同じです。ということは、肉や魚を100g食べれば、それだけで必要量のトリプトファンを摂取できます。

また、たとえ肉や魚をあまり食べなくても、白米やパンなどの主食からもトリプトファンは摂れます。たとえば、ご飯1杯には約60mg、食パン1枚には約50mgのトリプトファンが含まれています。

さらに牛乳などの乳製品、豆腐や納豆からもトリプトファンは摂取できます。

これらを合わせれば、必要摂取量は確実に満たせます。普通の食生活をしていればトリプトファンが不足する可能性はないと思います。

3.それでもトリプトファンが大切な理由がある

上記のことを考えると「トリプトファンの摂取量なんていちいち気にしなくていいのでは?」という疑問も出てくると思います。

しかし、今まで述べた摂取量というのはあくまでも必要摂取量です。トリプトファンを摂取してセロトニンを増やし、それによって特定の効果を得たいのなら話が変わってきます。ここでいう特定の効果というのは、

精神安定
トリプトファン摂取によってセロトニンが増えたことによる

安眠
セロトニンがメラトニン(=睡眠ホルモン)に変化したことによる

のことを指しています。

摂取量に関してはいろいろな説がありますが、たとえば安眠のためには1日あたり500~1000mgのトリプトファン摂取が有効という話があります。たとえば「不眠症を解消する本(HBJ出版局)」には次のように書かれています。

ボストン州立病院で、L-トリプトファンについて多くの実験が行われてました。アーネスト・ハルトマン博士は、次のように報告しています。「私たちの研究において、1グラムのトリプトファンを投与すると、入眠時間が20分から10分に短縮することを発見しました。

成人(体重60kg)の必要摂取量は一日あたり120mgですが、それと比べるとかなり多い摂取量が必要なようです。

「必要最低限の量と、何かの効果を得るための量は違う」ということだと思います。なので、セロトニンを増やして精神安定や安眠などの効果を得たい場合は、体重1kgにつき2mgという必要摂取量にとらわれずに積極的にトリプトファンを摂りましょう。

なお、トリプトファンはサプリメントの形でも摂れます。日本ではなじみが無いかもしれませんが、海外ではトリプトファンのサプリはそこそこ認知されていると思います。

amazonのレビューを見たところ興味深いレビューも載っていたので、興味のある方は覗いてみて下さい。

精神面にはGABAやDHAも効果ありますが、トリプトファンもまた違った効果がありました。GABAは不安感が解消され神経疲労が軽減、DHAは集中力が出てテキパキできる、トリプトファンは気力そのものが出てくる、というような違いを感じました。

amazonカスタマーレビューより

なお、セロトニンを生成するためにはトリプトファン以外の栄養素も必要です。詳細は「セロトニンの生成を手助けする栄養素」で述べていますが、ビタミンB6やナイアシンをしっかり摂るようにしたいところです。