「睡眠をさまたげる食べ物」と「不眠に効く食べ物」

食生活と睡眠には、大きな関係があります。たとえば夕食の内容によっては「なかなか寝つけない」「夜中に目が覚める」などの症状が現れることがあります。その逆に、食事の内容に気をくばるとグッスリ眠れたり、朝の目覚めが良くなったりします。

このページでは「睡眠をさまたげる食べ物」と「不眠に効く食べ物」についてまとめましたので、参考にしてみてください。

眠りをさまたげるのは「消化に時間がかかる食べ物」

基本的に、人間の眠気は「体温が下がるタイミング」に合わせてやってきます。そのため、就寝時間が近づいたら体温を上げないように気をつけるのが安眠の基本原則です。

次のグラフは、体温と眠気のリズムを示しています。夜になると1℃ほど体温が急激に下がりますが、それにともなって眠気が急上昇します。

● 体温と眠気のリズム

しかし、何らかの理由によって、寝る前になっても体温が下がらないことがあります。その理由はいくつか考えられますが、食事もそのひとつです。胃の中に食べ物がたくさん残っていると、胃の消化活動が活発になるため体温が下がりにくくなるのです。

つまり、胃の中に滞留しやすい食べ物は、睡眠をさまたげる食べ物ということです。

代表的なのは天ぷらなどの「揚げ物」で、胃の中に停滞する時間は4時間以上と言われています(食べた量にもよります)。

また、ステーキや焼き肉など、タンパク質&脂質がメインの食事も消化されるまでに時間がかかります。

● 胃内停滞時間の目安(100gあたり)

果物 1時間~1時間半
野菜 2時間~2時間半
麺類 2時間半
ご飯やパン 2時間半~3時間
焼き魚 3時間
揚げ物 4時間
ステーキ 4時間

ほとんどの食べ物は2~3時間くらいで消化されますが、それは単独で食べた場合です。複数のものを一緒に食べれば、消化にはさらに時間がかかります。

完全に食べ物が消化されるまで待つ必要はありません。しかし、就寝時刻の2時間前(できれば3時間前)には食事を終わらせておくのが無難だと思います。少なくとも、食事をした直後は睡眠に適した状態とは言えません。

また、胃の中にたくさん食べ物が残ったままだと、寝つくことはできたとしても眠りが浅くなります。眠りが浅くなれば、睡眠本来の役割(脳と身体の休息)を果たせなくなり、「たくさん眠ったはずなのに疲れがとれない」という症状につながる可能性も出てきます。

なお、辛いものや温かいものを夕食に食べると、その日はぐっすり眠れるようになるという話があります。こういった食べ物は体温を上げる作用が強いので、一度上がった体温が下降するときに大きな落差が生まれます。そして、その落差のため心地よく眠りに入っていけます。
(※ もちろん寝る直前に食べると逆効果になります)

不眠に効く食べ物はあるのか?

揚げ物やステーキを夜遅くに食べることが睡眠の妨げになるなら、その反対に睡眠をうながしてくれる食べ物はあるのでしょうか?

残念ながら、食べてすぐに眠くなるような食べ物はありません。
(もし仮にあるなら「車の運転前には食べてはいけない」などの注意が出されるはずです)

しかし、トリプトファンという栄養素を意識して摂ることは、安眠・快眠につながります。

トリプトファンはアミノ酸の一種です。体内で吸収されたあと、最終的に睡眠ホルモン「メラトニン」に変化します。このメラトニンが重要です。というのも、メラトニンが脳内で分泌されると、人は眠くなるからです。これは、メラトニンには体温を下げたり、副交感神経を優位にしたりといった働きがあるからです。

では、メラトニンの材料であるトリプトファンは、どのような食べ物に含まれているのでしょうか。

詳細は「トリプトファンが多く含まれる食品まとめ」で述べていますが、肉類や魚介類、穀類などの主食にトリプトファンは多く含まれています。また、乳製品や豆類などもトリプトファンの含有量が高めです。

● トリプトファンを多く摂るためのポイント

  • 動物性タンパク質(肉類、魚介類)をきちんと食べる
  • 炭水化物(米、パン)を抜かない
  • 間食はチョコやポテチではなく、ナッツ類にする
  • 紅茶やコーヒーの代わりに、牛乳や豆乳を飲むようにする

ただし、トリプトファンを摂っても、すぐにメラトニンに変化するわけではありません。

どのくらいの時間を経てメラトニンに変わるのか諸説ありますが(10時間以上?)、朝食や昼食のときにトリプトファンをしっかり摂るのが大切です。そうすれば、その日の夜にはメラトニンに変わってくれるからです。言い換えると、寝る前にトリプトファンを多く摂っても、眠くはならないということです。

なお、トリプトファンやメラトニンはサプリメントの形で摂ることもできます。もちろん食生活に気をくばるのが一番いいのですが、「眠れない夜が続く」「眠りが浅くて困っている」といった症状に現在進行形で悩まされているなら、サプリメントを試してみるのも一つの手段です。