トリプトファンだけじゃない! セロトニンの生成を手助けする栄養素がある

以前、セロトニンはトリプトファンを原料にして作られるという話を書きました。その後、睡眠関係の書籍などでさらに調べたところ、セロトニンの生成に関わる栄養素がいくつか見つかりました。

具体的には次の3つです。

  • ビタミンB6
  • ナイアシン
  • イノシトール

あくまでも主役はトリプトファンだと思いますが、これらの栄養素を活用するとセロトニン生成が効率良く進むと考えられます。

1.ビタミンB6は、セロトニンを作るための調理器具

1つ目の栄養素はビタミンB6です。トリプトファンがセロトニンの材料なら、ビタミンB6はその材料を料理するための調理器具のようなものと言えます。

心の病は食事で治す (PHP新書)」には、ビタミンB6について下記のように書かれています。

すべてのアミノ酸の代謝にかかわり、アミノ酸から伝達物質をつくるのにも欠かせない。たとえば、セロトニン、ドーパミン、アドレナリン、ヒスタミンといった生理活性アミンと呼ばれる伝達物質は、アミノ酸から二酸化炭素を取り除く脱炭酸反応によってできるが、B6がこの反応を手助けする。

ビタミンB6はセロトニン以外の脳内物質(ドーパミンなど)を作るためにも必要みたいですね。ビタミンB群は脳に関わるものが多いですが、その中でもB6は特に重要と言えそうです。

2.ナイアシンが少ないとセロトニンの生成が妨げられる

2つ目の栄養素はナイアシンです。ナイアシン自体は、セロトニンの生成過程で必要になるわけではありません。しかし、とある理由のために、食事からナイアシンを摂取していないと結果的にセロトニンが少なくなるおそれがあります。

ナイアシンは体内で生成できる栄養素です。そのため食べ物を通して摂取しなくても、そう簡単には不足しないと考えられています。しかし、ナイアシンを体内で生成するときには原料が必要になります。その原料というのはトリプトファンです。

つまり、トリプトファンはセロトニンの原料でもあるし、ナイアシンの原料でもあるんです。

体内のナイアシンが不足すると、トリプトファンはナイアシンを作るために優先的に使用されるようです。そうすると、本来セロトニンを作るはずだったトリプトファンが消費されてしまいます。

逆にナイアシンが体の中にたくさんあれば、トリプトファンを消費せずに済むのでセロトニンの生成量が増える可能性があります。

3.イノシトールはセロトニンの効果を高める

3つ目はイノシトールです。イノシトールとセロトニンに関する情報は、書籍を見てもなかなか載っていないのですが、前述の「心の病は食事で治す (PHP新書)」には次のように書かれていました。

B群の一つであるイノシトールも積極的にとりたい。イノシトールの抗うつ効果は確認されているが、それは、神経細胞でセロトニンの効果を高める物質に変換するからである。

また、

セロトニンの効果をコントロールするイノシトールは、強迫性障害だけでなく、パニック障害の治療にも利用され、それ自体が不安を鎮める抑制性伝達物質であることが証明された。

とも書かれています。どうやらイノシトールはセロトニンの生成に関わるというよりは、セロトニンの働きを助ける物質のようですね。
(さらに詳しい情報が入ったら追記します)

魚や鶏肉を食べること。それから果物や野菜もけっこう大切

ここまで3つの栄養素(ビタミンB6、ナイアシン、イノシトール)が重要という話をしました。では、具体的に何を食べればいいのでしょうか?

まずビタミンB6についてです。ビタミンB6がしっかり摂れる食材は肉と魚です。ビタミンというと野菜や果物のイメージがあると思いますが、意外にもビタミンB6は肉・魚に多く含まれているんです。

大まかに言うと、肉も魚も100gあたり0.3~0.6mgのビタミンB6を含有しています。それに比べて、たとえば穀類や乳製品などは含有量がとても少ないです(0.01~0.03mg)。

● ビタミンB6を含む食べ物の例

種類 食材 可食部100gの ビタミンB6量
肉類 とり むね 0.47 mg
魚類 さんま 0.51 mg
穀類 ごはん(精白米) 0.02 mg
乳製品 プロセスチーズ 0.01 mg
豆類 豆腐(絹ごし) 0.06 mg
野菜類 たまねぎ 0.16 mg
果実類 バナナ 0.38 mg

肉や魚以外でビタミンB6を摂りやすい食材はバナナです。

セロトニンを増やす食べ物としてバナナが紹介されることもあります。「バナナにはトリプトファンがたくさん含まれているからセロトニンが増える」という説もあるようですが、それは誤解かなと思います。

実のところ、バナナにトリプトファンはそれほど多く含まれていません。肉類の10分の1以下です。しかし、セロトニン生成を手助けするビタミンB6は豊富です。このことが「バナナはセロトニンを増やす」と言われる本当の理由かもしれません。

次にナイアシンが含まれる食べ物ですが、ビタミンB6と似た傾向があります。つまり肉と魚に多く含まれています。B6をしっかり摂るようにしていれば、ナイアシンも摂れると思います。

● ナイアシンを含む食べ物の例

種類 食材 可食部100gのナイアシン量
肉類 とり むね 7.9 mg
魚類 さんま 7.0 mg
穀類 ごはん(精白米) 0.2 mg
乳製品 プロセスチーズ 0.1 mg
豆類 豆腐(絹ごし) 0.2 mg
野菜類 たまねぎ 0.1 mg
果実類 バナナ 0.7 mg

牛肉や豚肉に比べると、鶏肉はナイアシンやビタミンB6が若干多めです。トリプトファンもしっかり摂れます。ちなみに、鶏のむね肉にはイミダペプチドという疲労回復成分がたくさん含まれているそうです。

なお、お酒をたくさん飲む人はナイアシンが不足しがちになります。なぜならアルコールを分解するときにナイアシンが使われるからです。また飲酒はビタミンB1やB2、B6などを消費することも知られています。お酒の好きな方は、マルチビタミンのサプリメントを利用してビタミンB群を補給するのもいいと思います。

最後にイノシトールについてです。イノシトールの含有量は、詳しい資料が見つからなかったので大まかな説明になります(詳細が分かったら追記予定)。

イノシトールは、肉や魚からはほとんど摂れないようです。この点はビタミンB6やナイアシンとは異なっています。

では何に含まれているのか?というと、それは果物です。とくにグレープフルーツやオレンジなど、柑橘系の果物はイノシトールを豊富に含んでいます。果物のほかには野菜からもイノシトールが摂取できます。とくにキャベツには豊富に含まれているようです。

↓食材をあれこれ考えるのが面倒な方は、マルチビタミンのサプリを使うのもひとつの手段です。