夜型生活を直すために実行したいたった1つのこと

人間の睡眠リズムには、朝型・夜型・その中間の昼型があります。この中で、現代人がおちいりやすいのは夜型のリズムです。仕事が夜遅くまである社会人や、深夜までバイトをしている学生などは、とくに夜型になる傾向があります。

たとえ夜型の日々が続いたとしても、何も問題が起きなければそれでいいのですが、実際のところ次のような悪影響が出てきます。

  • 朝だるくて会社に行くのがつらい
  • 午前中はぜんぜん調子が上がらない
  • 仕事の効率が落ちてしまう

そのため、「もっと早く起きて健康的な生活を送りたい! 」「朝型はムリだとしても標準的な昼型に変わりたい!」と思っている人も少なくないようです。

では、夜型を改善するにはどうしたらいいのでしょうか? いろいろな方法が提案されています。たとえば……

  • 朝しっかり太陽の光を浴びて、体内時計を整える
  • 早起きした朝のために、ちょっとしたご褒美を用意しておく
  • 日中に体を動かせば、はやく眠くなるので早起きもできるようになる

しかし、こういった方法を試してみても、なかなか夜型改善には結びつきません。実際のところ、次のような結果になってしまうはずです。

  • 朝しっかり太陽の光を浴びる
    → 夜型だとそもそも朝早くに起きるのが難しい
  • ちょっとしたご褒美を用意しておく
    → 実際にできれば素敵ですが、夜型の人の朝にはそんな余裕はない
  • 日中からだを動かせば早寝早起きになる
    → たしかに早く眠れるけれど、毎日そんなに身体を動かす時間が取れるのか?

これらの方法は、そもそも夜型を治すためのものではありません。夜型生活からの脱却後に、新しい睡眠リズムを固定させるために使う方法なのです。つまり、「夜型から昼型に移行する段階では、まだ使うのは早い」ということです。

では、夜型→昼型に直す段階でやるべきことは何なのでしょうか。やるべきことは、次の一点に集約されます。

夜9時になったらサングラスをかけて過ごす。
これだけです。

夜にサングラスをかけると夜型が改善できる理由

なぜ夜にサングラスをかけて過ごすと夜型が直るのでしょうか。それは、人間の眠りを支配している「体内時計」の仕組みを考えると分かります。

夜になると眠くなり、朝になると自然と目が覚める……このリズムを作っているのが体内時計です。脳の視交叉上核(しこうさじょうかく)に親時計があるほか、心臓や肝臓、血管、皮膚の細胞内にも子時計があります。

体内時計の働きで注目すべき点は、あるタイミングで「メラトニン」というホルモンの分泌をうながすことです。メラトニンは睡眠ホルモンと言われている物質です。体内でこの物質の濃度が高くなると、自然と眠気がやってきます。

一般的にメラトニンは夜9時くらいから分泌が始まって、深夜にピークを迎えます。その反対に、朝が近づくにつれて、メラトニンの体内濃度は下がっていきます。そして自然と目が覚める、というのが通常の睡眠リズムです。

しかし、夜型生活にどっぷり浸かっている方は、ちょっと状況が違います。体内時計のリズムが普通の人よりも後ろにシフトしているせいで、メラトニンの分泌タイミングが遅れるのです。

そのため、深夜1時2時まで目が冴えて眠れない……なんてことも頻繁に起こります。さらに、朝起きるときにも問題が生じます。メラトニン濃度が下がる時間帯が後方にズレているため、起床時刻が遅くなってしまいます。

でも安心してください。メラトニンの分泌が始まる時間帯を前倒しできれば、早い時間に眠りにつけるし、朝早く起きられるようにもなります。

では、どうすればメラトニンの分泌タイミングを早くできるのでしょうか。その答えのひとつが、冒頭で述べた「夜になったらサングラスをかけて過ごす」なのです。

メラトニンの分泌は、外界の明るさに影響されます。眼に入ってくる光が多ければ、メラトニンは出にくくなります。その逆に、周囲が暗くて光が少ないと、分泌量が増えます。

しかし、ここで重要なのは「自宅の蛍光灯の明るさ程度でも、メラトニンの分泌は妨げられる」という事実です。一般的なリビングの明るさは500ルクスくらいですが、この明るさだと、30分もすればメラトニンの放出に悪影響が出てきます(メラトニンの分泌を抑制してしまう光の強さは何ルクス?

ただでさえ夜型の習慣が身についている状況です。そこに部屋の明かりのせいでメラトニンが出にくくなってしまえば、分泌タイミングを前倒しするのはもう不可能です。

だからこそ、サングラスをかけて、目に入ってくる光を弱めるわけです。そうすれば「今は夜なんだ」ということを、視交叉上核の体内時計に早めに伝えることができます。

1~2日試したくらいでは、何の効果も感じられないかもしれません。しかし、少しずつメラトニンの分泌タイミングが早まってくると、しだいに眠くなる時間帯も早まってきます。

昼型のリズムを持っている人は、体内のメラトニン濃度が夜9時ころから上昇します。夜型の人はそれに合わせるために、夜9時にはサングラスをかけるようにしましょう。

なお、サングラスには色の種類がありますが、グレー系よりはブラウン系がおすすめです。というのも、ブラウン系のサングラスは青色波長の光(ブルーライト)をカットする働きが強いからです。ブルーライトは、メラトニン分泌を一番さまたげる波長の光です。

ブラウンなどの暖色系の色はリラックス作用があり、眠りに良い影響をもたらしてくれる点も長所です。

ひとつ注意点があるとすれば、レンズの大きさです。光が眼に入らないようにするのが目的なので、レンズが小さすぎる眼鏡は不向きです。

すでにメガネを日常的に使っている人は、度付きのサングラスを使うようにしましょう。眼鏡屋に行けば、普通のメガネと同価格で売っています。メガネを余分に用意することになりますが、夜型改善がうまくいくならお釣りがくると思います。

夜のサングラス生活をどのくらい続ければいいのか?

一時的に睡眠リズムが後ろにズレていただけなら、1~2週間もすれば昼型に戻ると思います。しかし、10年近く夜型生活を続けてきた人だと、昼型の睡眠リズムが定着するまで半年かかることもあるそうです。

10年夜型というのは極端な例ですが、夜型生活を年単位で送ってきた場合、確実にその習慣が身体に染みついています。改善に数カ月はかかると考えておいたほうが無難です。

「来週から新社会人だ!夜型直さないと!」とか「職場が変わったので早起きしなくちゃ!」というような方は、余裕をもって夜型改善に取り組みましょう。

なお、夜型から昼型への移行が成功したあとは、サングラスをかけて過ごす必要はありません。うまく昼型に落ちつけば、別の方法で睡眠リズムを維持できるからです。このページの最初に述べたような、

  • 朝しっかり太陽の光を浴びて、体内時計を整える
  • 早起きした朝のために、ちょっとしたご褒美を用意しておく
  • 日中に体を動かせば、はやく眠くなるので早起きもできるようになる

というような方法を取り入れてみてください。

ただし、もともと夜型の遺伝子を持っている人は、簡単に睡眠リズムが後ろにズレてしまうようです。「最近また夜型リズムになってきたかもな~」と感じたときには、サングラス着用を再開するようにしましょう。

追記:サングラスをかけられない時は……?

このサングラスを使った夜型改善方法にも、弱点はあります。

それは、状況によって実行できない可能性があることです。たとえば夜遅くまで仕事しているときに、「夜9時になったからサングラス付けて仕事続けます」というのが気軽にできる職場ならいいのですが、サングラスをかけること自体ムリな職種も多いはずです。

その場合はどうするかというと、サングラスの代わりにブルーライト軽減メガネを使うのも一つの手段です。ブルーライトは、光の中でもメラトニン抑制が一番強い光です。それだけも防げば、何もしないよりは効果が見込めます。

ブルーライト軽減メガネには、ブラウンレンズとクリアレンズがあります。クリアのほうはレンズの透明度が高くて、外から見た感じは普通のメガネと変わりません。職場で使うならクリアレンズをオススメします。そして、家に帰ったらサングラスにかけ替えましょう。