体内時計のズレをリセットする方法は、ビタミンB12をしっかり摂ること

人間の体内時計の周期を調べた実験はいくつかありますが、最近の研究によると「24時間10分前後の人が多い」という結果が出ています。

地球の1日(=24時間)よりも長い周期なんて、体内時計が狂っているのでは?とも思えますが、24時間以上の周期になるのが普通なのだそうです。

ただし、困った問題がひとつあります。地球の24時間周期と、体内時計の周期にズレが生じることです。何もしなければ、周期の長い体内時計のほうが、毎日少しずつ遅れていきます。

その遅れを修正してくれるのが、朝に浴びる太陽の光です。人間の脳には、視交叉上核(しこうさじょうかく)という部分があります。その部分に、朝、光の刺激が届くと、体内時計の遅れが解消されます。

しかし、本当に朝日を浴びるだけで、体内時計の遅れをリセットできるのでしょうか? 個人的には、充分にリセットできない可能性もあると思っています。

たとえば、生まれつき体内時計の周期が長い場合です。先ほど、体内時計の周期は24時間10分くらいと書きましたが、これはあくまでも平均値です。実際には個人差があります。「8時間睡眠のウソ」という書籍に載っている研究結果によると、周期の長い人で24時間30分にもなるそうです。そうすると、通常の2~3倍の修正が必要になります。

また、体内時計の機能が弱まっている人もいます。長いあいだ夜型生活を続けていたり、不規則な生活パターンを続けていたりすると、時計合わせの能力が低下するそうです。

上記のような場合、朝の太陽光だけでは体内時計のズレを直せない可能性が出てきます。そんなときには「高容量のビタミンB12を摂取する」という方法があります。

ビタミンB12は、体内時計の修正機能をUPさせる

ビタミンB12は、光に対する感受性を高めると考えられています。光に対する感受性というのは、ちょっと分かりにくいかもしれませんが、「光を浴びたときに、脳内の視交叉上核がしっかり反応するようになる」と理解しておけば問題ないと思います。

光の刺激が視交叉上核に届くことによって、体内時計の遅れは解消されます。そのため、視交叉上核の反応性が高まれば、体内時計のズレを修正しやすくなります。

もともと人間に備わっている修正能力を、ビタミンB12が強化してくれる……そんな言い方もできると思います。

ビタミンB12は、特定の睡眠障害を治療するためにも用いられています

たとえば、睡眠相後退症候群(すいみんそう こうたい しょうこうぐん)という睡眠障害があります。これは、睡眠時間帯が後ろにずれたまま固定される睡眠障害です。簡単に言うと「極端なほど夜型になった状態」です。

この睡眠障害の原因のひとつは、体内時計の遅れをうまくリセットできないことです。治療法の選択肢として、ビタミンB12の服用が挙げられています。

ほかには、非24時間睡眠覚醒症候群(ひ24じかん すいみん かくせい しょうこうぐん)という睡眠障害があります。睡眠時間帯が約1時間ずつ毎日後ろにズレるという、日常生活に大きな支障をきたす睡眠障害です。

この睡眠障害も、体内時計の遅れをリセットできないために発生します。そして、ビタミンB12の服用が、治療の選択肢になっています。

ビタミンB12の効果を得るために重要なこと

睡眠相後退症候群や、非24時間睡眠覚醒症候群といった睡眠障害の治療に、ビタミンB12が使われる……その事実をふまえると、ビタミンB12の体内時計リセット効果には大きな期待が持てます。

ただし、睡眠の専門書などで調べた結果、ビタミンB12の効果をしっかり得るためには、外せないポイントが2つあると思いました。

ポイント1:朝日を浴びることは必要

ひとつ目は、あくまでも朝日の刺激を受ける必要はあるだろう、ということです。

いくらビタミンB12をたくさん摂取しても、太陽の光を朝浴びなければ、大きな効果は得られないと思います。なぜなら、ビタミンB12は光感受性を高めるだけだからです。

ビタミンB12自体に、体内時計の遅れを修正する働きがあるわけではありません。あくまでもサポート役です。

睡眠障害に対する、ビタミンB12の臨床試験の結果を少し調べましたが、ビタミンB12単体では良好な結果が出ていませんでした。しかし、高照度光療法(強烈な人工光を一定時間浴びる治療法)と組み合わせると、良い結果が得られるようです。このことからも、朝に光の刺激を受けること自体は、必要だと推測できます。

● 参考:高照度光療法のイメージ

ポイント2:高容量のビタミンB12が必要

2つ目のポイントは、ビタミンB12の摂取量です。

睡眠医療という専門書によると、睡眠相後退症候群に対するビタミンB12の投与量は、一日あたり1500~3000マイクログラムとのことです。睡眠障害の治療レベルだとこの量ですが、体内時計の修正機能を強化するだけなら、もっと少なくてもいいと思います(たとえば1000マイクログラムとか)。

肝心なのは、1000マイクログラムにしろ2000マイクログラムにしろ、どうやってその量を摂るのか?ということです。最近読んだ「ブルーライト 体内時計への脅威」という書籍には、次のように書かれていました。

ビタミンB12には、光の感受性を高める力があると言われている。ビタミンB12は、シジミやアサリ、メザシ、サンマ、サケなどに多く含まれているので、たとえば焼き魚にシジミの味噌汁といった組み合わせが理想的だ。

食品成分表で調べてみましたが、ほかの食品と比べれば、たしかに魚介類はビタミンB12を多く含んでいます。しかし、体内時計の修正機能を高めるほどの量は、摂取できません。なぜなら、ビタミンB12が多いと言っても、せいぜい数10マイクログラムだからです。

食品 ビタミンB12の量
シジミ 20個(20グラム) 12.5 マイクログラム
アサリ 10個(40グラム) 21.0 マイクログラム
サンマ 1尾(100グラム) 17.7 マイクログラム

この数値を見るかぎり、食事の内容に気をくばったとしても、一日に100~200マイクログラムが限界なのでは? と思います。体内時計のズレを修正するためには心もとない量です。

そうすると、現実的にはビタミンB12のサプリメントを利用することが、もっとも確実な方法と言えます。日本のメーカーでは、なぜか高容量のビタミンB12サプリが見つからないのですが、アメリカのメーカーからは販売されています。

参考までに、2つ紹介しておきます。どちらも通販で購入できます。

Jarrow Formulas, メチル B-12

口の中で溶かすトローチタイプのサプリです。1錠あたりのビタミンB12は1000マイクログラムです。

日本語のレビューも結構集まっているので、このサプリを使っている人は多いと思います。ただし、体内時計の機能強化を目的にしている人は少ないようです。手足のしびれの緩和や、不安感・イライラの解消のために使っている人が多い印象です。
(ビタミンB12はそういう目的でも使われます)

ドクターズベスト fully Active B12

こちらは普通のカプセルタイプのサプリメントです。1錠あたり1500マイクログラムのビタミンB12が摂れます。1500マイクログラムというのは、先ほど述べた睡眠相後退症候群の治療で使われる量です。本気で体内時計の遅れを直したい人向けと言えそうです。

どちらのサプリメントも、iHerbというサイトで取り扱いがあります。iHerb自体は、ちょっと取っつきにくい通販サイトだと思いますが、海外サプリを入手するときには、非常に重宝します。

なお、「そんなに大量のビタミンB12を摂取しても問題ないの?」と心配になる方もいると思います。が、ビタミンB12は水溶性のビタミンです。使われなかった分は、トイレに行ったときに体から出ていきます。

つまり、ビタミンB12の吸収量には限界があります。そのため過剰症の心配はないとされています。厚生労働省が制定した「日本食事摂取基準」でも、ビタミンB12の上限量は設定されていません。