精神的なストレスが睡眠に影響する本当の理由

不眠にはさまざまな原因がありますが、仕事や人間関係などで強い精神的ストレスを受けることも、不眠をもたらします。ストレスを慢性的に感じていると、「なかなか寝つけない」「朝の熟睡感が得られない」などの症状が出やすくなります。

では、なぜ精神的ストレスが不眠をもたらすのでしょうか。その理由は2つあります。

理由1.「頭の中の独り言」が止まらなくなるから

精神的なストレスがあると、ベッドに入ってからも考え事をしてしまいがちです。

たとえば人間関係でストレスがあるなら「どうしてあの人は小言があんなに多いんだ」「今度何か言われたら強く言い返してやる」などといった考えが、次々に頭に浮かんできます。これは一言で言うと「頭の中の独り言」が延々と続いている状態です。

頭の中で独り言をしている間に、イライラや怒りなどの感情が高まってくることはありませんか?このような感情が湧くと、ある変化が脳内で起こります。ドーパミンやノルアドレナリンなどの物質がたくさん作られてしまうのです。

ここで問題なのは、ドーパミンやノルアドレナリンは脳を覚醒させる作用を持っていることです。

通常、寝る前は覚醒物質の生成が抑えられているため、脳も身体も鎮静状態になっています。だからこそスムーズに寝付けるわけです。しかし「独り言 → イライラや怒り → ドーパミンやノルアドレナリンの生成 → 脳の覚醒」という一連の流れが起きてしまうと、眠りに入っていけなくなります。

さらに困ったことに、感情が乱されるとそれに呼応して次の独り言が頭の中で始まり、それによってますます感情が乱される……という無限ループに突入します。こうなると覚醒物質がどんどん生成されてしまい、ますます寝付けなくなります。

理由2.ストレスのせいでレム睡眠が増えてしまうから

精神的ストレスは朝の目覚めにも大きく影響します。「質のいい睡眠って結局なんなの?」で詳しく述べていますが、熟睡感のカギは深いノンレム睡眠です。ノンレム睡眠は脳の疲れを回復させる効果があり、朝にスッキリ起きるためには欠かせません。

● 睡眠時間と睡眠深度の関係

しかし、強い精神的ストレスがある人はノンレム睡眠が減り、そのぶんレム睡眠が増えるという研究結果が出されています。脳の疲れを回復させる時間(=ノンレム睡眠)が減少すれば、当然疲れが残ってしまうので熟睡感を得られなくなります。これが、「精神的ストレスのせいで朝の目覚めが悪くなる」ということです。

では、なぜ精神的ストレスのせいでノンレム睡眠が少なくなって、反対にレム睡眠が増えるのでしょうか。

それはレム睡眠の役割を考えてみると分かります。レム睡眠の役割は記憶を整理し、心をメンテナンスすることです。ストレスが多ければそれだけメンテナンスしなければならない記憶の量が増えます。そのためレム睡眠が増えるのです。

レム睡眠 ノンレム睡眠
眠りの深さ 浅い 深い
比較的活動している。記憶の整理をしている。 休んでいる
休んでいる。筋電図も最低の値になる。 休んでいるが、筋肉の活動は少しある。
自律神経 不安定になる。心拍数の変動も激しい。 副交感神経が優位になり、ゆったりした状態。

睡眠への悪影響だけは防ぐ

ストレスの根本的な原因を取り除けるならそれが一番いいのですが、現実的にはそれは難しいことが多いと思います。

職場の人間関係がきつくても、簡単に仕事を辞めるわけにはいかないでしょう。また、家族や友人との間で衝突があっても、投げ出すことができない場合がほとんどだと思います。

そこでオススメなのが「ストレス自体は受け入れるけど、睡眠に影響するのだけは防ぐ」という方針です。

具体的にどうすればいいのかですが、手軽なのは入浴を工夫することです。アロマオイルやバスソルトを使って、お気に入りの香りに包まれながらバスタイムを過ごせば、精神的ストレスも和らぎます。

↓ バレリアンのバスソルトは精神的な緊張を解いて、寝付きを良くする効果があります。鎮静作用も高いので、頭の中の独り言を抑えられるかも。

また、定期的な運動もストレス解消のために大切です。というのも、運動すると「セロトニン」という物質が増えるからです。

セロトニンは脳内物質のひとつで、精神を安定させる作用を持っています。うつ病との関連も示唆されている重要な物質です。詳細は「セロトニンの働きと効果とは? ストレスにさらされている方必見!」で述べていますので、参考にしてみて下さい。